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みらいシネマ アーカイブ

港に灯がともる
202568
映画
「聲の形」
トークショー
ゲスト:
入野自由
聞き手:
坂口カンナ
写真:
小賦光良
坂口
皆さま、大変お待たせいたしました。いよいよトークショーのお時間です。今日は「聲の形」の主人公・石田将也の声を演じられた入野自由さんをお招きしています。すごく早くから並んでいらっしゃったファンの方もいたとお聞きしておりますが、心の準備はよろしいでしょうか?あ、もう拍手の準備や胸元をおさえているファンの方もいらっしゃいます。最後にちょっとだけ短い時間にはなると思うんですが、質問の時間も設けたいと思っていますの心の準備をしていただければと思います。映画の余韻もあるかと思いますが、準備はよろしいでしょうか?では大きな拍手でお迎えください。入野自由さんです。どうぞ
坂口
あらためて、会場にお越しの皆さまにご挨拶お願いします。
入野
皆さま、本日はお越しくださいましてありがとうございます。石田将也の声をやらせていただきました 入野自由です。今日はよろしくお願いいたします。
会場の様子
坂口
ありがとうございます。おかけください。今日は福岡の方が多いのかな。今日いらっしゃっている方で福岡ですよという方、手を挙げていただけると、多いですね。県外から来ましたよっていう方は手を、やはり多いですね。朝8時から並んでいましたっていう方が前の方にいらっしゃいますね。スタッフの入り時間が9時だったらしいんですけれど、それより早い時点でもうすでに並ばれていたとお聞きしております。
入野
僕はまだ家にいました。
坂口
今日は素敵なお召し物で出てきていただきました。
入野
ありがとうございます。
坂口
もう梅雨入りしたとは思えないぐらいの爽やかなブルーのシャツを羽織っていただいてご登場いただきました。
入野
僕の母も手話の通訳をやっていたことがありまして、それもあって僕は手話にすごく関心があるんです。僕自身も手話で自分の名前を言えます。合っているかわからないんですけれどもね、これ合ってるんですかね。(手話で)「私の名前は入野自由です」合ってる?合ってるそうです。
坂口
いいですね。
入野
「おいしい」は。ほっぺたですか?(手話で)「おいしい」。そうですね。「おいしい」はオレンジデイズで覚えました。
坂口
入野さんは福岡にお仕事だったり、ちょこちょこ来られてると思うんですが、ライブやトークイベントが多いですか?
入野
いろいろですね。去年は舞台やライブとかで4回ぐらい来ているんですね。1シーズンごとに1回ぐらい来てました。ここでプラネタリウムのライブをやらせていただいたり、キャナルシティ劇場で自分1人のソロのコンサートと演劇で立たせていただいたりとか。
坂口
そんな時は福岡をゆっくり楽しむ時間はありますか?
入野
あったり無かったりですね。舞台の時は結構長期で滞在することもあるので、自分の好きなお店に行ったり、親戚が福岡にいてですね、母方の親戚がこっちにいて、その親戚に会いに行ったりしてました。
坂口
じゃあお帰りなさいといってもいいぐらいですね。
入野
実は仕事と関係なく親戚に会いに来て今年はこれで二度目ですね。
坂口
福岡の食べ物はいかがですか?
入野
おいしいですね。演劇関係者は特に福岡に行きたいって言います。おいしいもの多いですしね。
坂口
福岡に来て楽しみにされていることありますか?
入野
ご飯ももちろんそうですし、劇場に行くのも好きで、この前親戚に会いに来た時も博多座に行って「レ・ミゼラブル」を観ました。
坂口
博多座で「レ・ミゼラブル」を観られたんですか?
入野
観ました 観ました。東京じゃなくて福岡で観ました。
坂口
そうなんですね。
入野
東京で観られなかった舞台を福岡で観たり、海外行った時もその土地にある劇場が好きで、その土地の劇場を見たり、そこでやってる演目を観たりというのは楽しみの一つです。
坂口
地域色ってあるんですか?
入野
特に芝居をやっていて感じるんですけど、地域によってお客さんの反応はいろいろです。ここで受けるんだとか、ここでは受けないんだっていうのが場所によって変わってきます。
坂口
福岡の観客はどんな印象ですか?
入野
福岡の人は結構反応が良くて、すごく素直なリアクションをしてくれるという印象があります。
坂口
嬉しいですね。素直って言われると。去年1月、この会場の隣にあるプラネタリウムでご自身の歌手活動としてのコンサートも開催されたということなんですが、プラネタリウムのコンサートって、どんな感じですか?
入野
もうもう真っ暗です。
坂口
真っ暗だと入野さんの姿が見えませんね。
入野
ほぼ見えないというか、まあ見える。うっすらですね。
坂口
どういう演出になるんですか?
入野
暗いシーンは本当にリクライニングシートを倒して天井の星を見上げながらその空間を楽しんでもらいます。寝てもいいですよという感じです。
坂口
寝る?入野さんの前ですよ。いやいや無理です。
入野
寝てる人います。 多分(笑)。
坂口
いい声すぎて。
入野
ライブインザダークっていう形で、福岡、神戸、東京の3カ所でプレネタリウムでのコンサートをやっているんです。僕も別の会場に三重奏を聞きに行って、一時間ぐらい寝てました。気持ちよすぎて。
坂口
よく眠れましたか?
入野
よく眠れました。やっぱりヒーリング効果があって眠気に抗わに癒されることを楽しんでもらえればなあと。皆さん日々忙しく過ごしていて、暗い中空間で、じっと空を見上げることって、なかなか現代ではないと思うんですね。音楽とともに癒される時間は素敵ですよ。
坂口
贅沢な睡眠時間ですね。さて今日はユニバーサル上映された 映画「聲の形」についてもお話しをうかがっていきたいんですが、健常者の方も障がいのある方もすべての人が楽しめるという形で今回2016年の作品があらためて、ユニバーサル上映されました。この音声ガイドを作ったのも福岡の団体の方々ということでした。あらためて入野さんご自身が関わられた作品がユニバーサル上映を通して、様々な方に触れていただけるっていうのはいかがですか?
入野
この上ない幸せというのが最初の感想です。映画を作っている人たちみんな同じ意見だと思うんですけれども、今いろんな作品がある中で、一人一人に届くことがだんだん少なくなっているんですね。こういう場所で多くの観客に届くっていうのは、すごくいいことです。大きいスクリーンで見れることっていうこと自体が少なくなったので、この先もいろんな形で続いていけばいいなと思います。
坂口
上映前に伺ったボランティア団体エイムingの岩村さんのお話ですと作品の中に出てくる声優さんの声やBGMの音は絶対に切ってはいけないので、そこを活かしながら、その間の限られた時間で目が不自由な方々に映像を思い浮かべてもらう言葉を探すのがすごく大変だと。
入野
本当に難しいと思います。
坂口
私も音声ガイドを聞いてみてみたいなと思ったし、今日も勉強のために音声ガイドを借りられた方もいらっしゃったそうです。
入野
そうなんですね。ありがとうございます。こういうのが一つ一つ広がって知られていくっていうこと自体が大事だと思うので、この作品が一つのきっかけになったらなと思います。今、それがここで実現しているのが、すごく嬉しく思います。
坂口
当時のお話も思い出せる範囲でうかがっていきたいなと思うんですが、映画が作られたのが9年前ですね。
入野
そうですよね。9年前。
坂口
声優さんって大変だろうなあと思うんですけど、作品を撮った時と皆さんに届く時期って、ずれてるものもたくさんありますね。
入野
そうですね。アニメーションって、ものすごくこう細分化されていて脚本があって絵を描く人たちがもう何百人もいて、それを1枚1枚集めて製作進行をする人たちがいる。アニメって何年もかけて作るんですけど、僕たち声優っていうのは、その中の1日か2日で声を入れるだけなんです。すごく短い期間だけ製作に携わるんですが、作品が完成して、こうやって登壇して話すことはあるんですけども、どこまで僕らが作品の魅力を語れるのかというのはいつも悩むところです。
坂口
そもそも石田将也役はオーディションだったんですか?
入野
はい。オーディションでした。基本的にはどの作品もオーディションですね、僕はキャリアでいうと33年間 この仕事をやっています。4歳からあの児童劇団に入って活動しているんですけれども、33年やってるとベテランの域に入るんですが、いくつになってもオーディションに落ちては悩む日々です。
坂口
え?落ちた作品って?
入野
落ちた作品ですか?作品にもよるんですが、後でその役の声を聞いて、「俺の方が良かった」って思いますね。もちろん俺が一番だっていう気持ちを持ってないとやってられないというか、心が折れちゃうので。だから作品を観て、こういうのが求められていたんだなと考えています。自分の心に正直に素直でいることって、大事だけど難しいですね。
坂口
オーディションの時点では映像は出来上がっているんですか?
入野
いやいや出来てないですね。オーディションの時は本当に紙というかデータだけです。ここを読んでほしいというのがシーンがいくつかあって、そのセリフを吹き込んで、送るんです。人によってはスタジオに入って、しっかりしたマイクで録る人もいれば、僕はそういう場所を持ってなかったので、小学生の時はカセットテープに録音して、それを送っていました。それがだんだんMDになって、携帯になって、最近では自分のマイクでとったりすることもあるんですけど、ずっと携帯のボイスメモに録音するということをしていました。
坂口
すごい。そうなんですね。キャラクターの最初の印象って覚えていますか?どういう印象でしたか?
入野
オーディションではオーディションテープっていう言い方をするんですけど、「聲の形」はオーディションテープを急いで録らなくちゃいけなかったんですよ。
坂口
大人の事情ですね?
入野
僕が海外旅行から帰ってきてすぐ録ってくださいと言われて、時差ボケもあったんですが家で1人でボイスメモで録りました、僕は調整とかもできないから録ったまま渡しているんですけど、家にあった水槽のポコポコポコっていう音が全部入ってるんです。環境音が。コンデンサーマイクでもないので。ただ監督いわく、そういう環境音が入ってるところが、他のオーディションテープと違ったんだそうです。こう肩の力が抜けたというか、気負ってない感じが良かったみたいで。監督は「印象的だったのは水槽の音」って言ってました。
坂口
音がちゃんと入ってるもんですね。
入野
そうですね。でも環境音は今でこそ編集をして自分たちの手で作れるようになりましたけど、昔はできなかった。僕の場合、そういう音が入っていることの方がほとんどでした。だってもう家のリビングで録っていますから。
坂口
そうですよね。
入野
絶叫する作品とかは大変ですね。家のリビングで大声で叫んでます。 遠慮なんかしてられないから。毛布かぶったりして録ります。声のボリュームも役によって全然違いますから。
坂口
将也は自分と似ているところがあるなと思いますか?
入野
どうなんでしょう。
坂口
似てる部分がある方が役に入りやすいのかなあと。
入野
あんまりそういうのを考えたことがなくて、こういう部分って自分にも共通してるなとか、自分のこういう部分がこのキャラクターに似てるなっていうところを想像することはありますけど。ただ自分と似てれば似てるほどできなかったりします。役作りっていうのは難しいけど、あまり飾らずにやろうというのが監督と話したポイントでした、ありのままにしゃべる、書いてあることを読むっていう感じでしたね。あとは将也の子供の頃は松岡茉優さんがやられていて、幼少期を先に録られていたんですけど、松岡さんがやった将也が大人になった部分にどんな影響を与えるのかっていうのを想像したかったので、松岡さんのアフレコを見に行ったんです。声を聞いたり、できることはちょっとずつやってみようっていう精神でね。
坂口
一緒に出てらっしゃる他の声優さんたちと演技プランなんかを現場で話し合ったりするんですか?
入野
演技プランっていうのは特に話したりはしませんね、舞台だとここはこういうふうにしてみようと思って話はしたりするんですけど、アニメの作業って本当に瞬間瞬間っていうこともあってイニシアチブを取るのは監督なんですね。監督が舵を持っているので、僕たちがどうこうしようっていうよりも絵がどう動いてるかとか、監督がどうしたいのかっていう意図を汲み取って合わせていく、その違いを監督が指揮をしていくっていう感じです。
坂口
監督とお話しされるのは、アフレコの現場ですか?それともオーディション合格してからアフレコまでの時間に話し合ったりするんですか?
入野
いろんなスタイルがあるんですけど「聲の形」に関しては、収録日の朝に監督と話をしました。将也のことどう思いますかとか、この作品どう思いますかっていうことを話してアフレコに臨みました。本当に瞬発力というか、アニメの場合はそういう瞬間が多いと思います。
坂口
入野さんご自身のことについてもうかがいたいんですが、経歴も長くずっとご活躍されている印象があるんですけれど、スランプってありましたか?
入野
スランプはその時々でありますね。作品をやっていてうまくいかないときや、うまくいかないシーンがありますね。
坂口
その壁にぶつかると、どうするんですか?
入野
身を任せるしかありませんね。あだその時に自分がやっているものとは違うものを見たりしますね。他の人の芝居を見に行ったり他の作品を見たり。違う人の演技を見てヒントをもらったりはしますね。あとはいっぱい落ち込むということですかね。
坂口
落ち込む?落ち込みますか?
入野
ダメだ、もうダメだって。
坂口
落ち込んだ時の発散法ってありますか?食べたりカラオケに行くみたいな。
入野
ないですね。カラオケも行かないし、どうやって発散してるんだろう。でも人と会って自分はこう思ってるってことを話して、あ、この人もそういうふうに思ってたんだっていう思いを共有するのは結構発散になりますね。共演者と、ここのシーンがうまくいってないっていう話をしたりとかすると「こういうふうにしたらいいんじゃないか」っていうことを聞いて、違う視点が入ることで切り抜けられるっていうことはあります。
坂口
入野さんは歴が長いのもありますし、下の方から上の方までいろんな世代の方とお仕事ご一緒されると思うんですけど、いろんな世代の方とコミュニケーションを取る上で、大切にしていること、意識していることってありますか?
入野
僕は子供の頃からずっと自分が一番年下だっていう意識でやってきたのですけど、20歳を過ぎた頃からだんだん自分と同年代の人たちが同じ業界に入ってきて、しゃべることが増えました。そうするうちにどんどん後輩も増えてきて、最初はどうやって接していいのか、わからないこともあったんですけど、上の人たちに良くしてもらったそのままを後輩たちにしていけばいい。それから上下って、あまり関係ないなっていうふうに思えるようになりました。人としてリスペクトする。あまり年齢を意識しないで、とにかく相手をリスペクトする。接していくっていうことですね。舞台に立ったりマイク前に立つと、年齢は関係ないので。
坂口
そうですね。確かに。
入野
あんまり年齢や上下関係が邪魔にならないようにしたいなっていう思いはあります。
坂口
役作りの仕方も先輩の影響を受けたりしますか?
入野
もちろんあります。それも上も下もですね。いいなと思ったものは素直に取り入れて、自分には合わないなと思ったものは取り入れない、それをずっと繰り返しています。
坂口
役作りって具体的にどういうことされるんですか?
入野
役作りって難しいですね。お芝居であるっていうのは前提としてでも、そこに起きていることをとにかく信じます。今ここにある。セリフと今ここにある状況を理解して想像することに尽きるのかなと思います。作り物と思っていたら、 うまく伝わらないんです。芝居をしていると自分はこう思っているからこうしようとか、ああしようっていうことが結構出てくるんですけど、それだとうまくいかないんですね。相手もこうしようって思っていることがやっぱ違ったりするし、僕とベクトルが違うものだったりするので。そこをどう合わせていくのかということも大事です。日常生活でも同じだなと思うところはあります。日常生活でも自分はこうしたいって思っていても相手もそうしたいと思っているとは限らないじゃないですか?それと一緒です。セリフとかは決まっているので、しっかりとその場所で起きたことを感じること。ものを落とす予定じゃなかったけど、落ちたらそれを無視するんじゃなくてちゃんと落ちたこととして、処理するということの連続です。そういうことをできるといいなというのは常々考えています。
坂口
洋画の吹き替えとかだと役作りって変わってきますか?
入野
洋画の吹き替えも難しいですね。洋画の吹き替えは、もうそこに完成されたものがあるので、そこに合わせていくっていう作業と、言語として、日本語の強調したい部分と英語で強調される部分はそもそも文法として違いますよね。その部分をどう擦りあわせるか、役者の表情と日本語は絶対合わないし、英語と日本語ではスピード感も違うので、どう処理するかっていうことが重要になってきますね。
坂口
あらためて説明していただくとすごい作業ですね。
入野
そうなんです。意外と華やかに見えたりするんですけど、やってることは本当に地道で地味な作業です。
坂口
役への向き合い方みたいなものは役によっても変わりますか?
入野
もちろん作品によっても役によっても変わりますね。
坂口
ご自身の年齢によっても変わったりしますか?
入野
変わります。原作があるかないかっていうことでも変わりますし、ご覧いただいた「聲の形」っていう作品は原作があるものなので、その原作をしっかり全部読んで、自分なりのその役の解釈をします。「聲の形」の原作って七巻ぐらいあって、すごく長いんですけど、映画ではそれを2時間にまとめるために、この映画では何を描きたいと思っているのかっていうのをしっかり自分の中で理解して臨むっていうことが大切です。そうすれば視点が決まってきますね。
坂口
役が抜けないことってありますか?
入野
あんまりないですね。でも夢は結構見たりします 。例えば殺人をしてしまう役を舞台とかでやっていると夢の中でも実際に人を殺してしまったりとか殺される夢を見ます ね。体は一つなんだなと思います。考えていることが多いとそれが出てしまうことは確かにあるかもしれません。人によっては、がらっぱちな役をやって乱暴な口調で話していると普段の言葉もつい乱暴になったりするという人もいます。
坂口
へえ面白いな。役が降りてくることはあるんですか?
入野
役者によってはいますね。多分感覚の違いだと思うんですけど、個人的にはそんなに降りてくるっていう感覚は無いですね。
坂口
今出ただけでも、アニメの声優さんだったり、舞台だったりテレビ番組やラジオもされて本当に活動の幅が広いじゃないですか?どう切り替えていますか?
入野
あんまり切り替えようと思たことはないですね。火曜日に生放送やってるんですけど、その時は生放送用のスイッチが入ることがあります、でも、あんまり自分の中でこうしようああしようっていうのは無いですね。僕らの仕事って同じ場所で常にそれをやるっていうより、いろんな場所に行くことが多いので、それぞれの場所や人と対面した時にある種スイッチが入るのかもしれないですね。人が一番大きいと思います。まあ人と場所ですね。
坂口
これからやってみたいことってありますか?
入野
僕は年齢も重ねてきて経験も積んで自分自身を知る機会も増えてきたので、仲間内で演劇など自分がコミットするんじゃなくて自分たちで作ってみるということをやってみたいなって最近話したりはしています。お芝居とかアニメーションのなんかを作る側には興味があります。役者をやっているからこその視点というものを持って作品作りをやってみたいなとは思いますし、皆さんに届けられる事はもっとあるんじゃないかなと思います。
坂口
作り手を経験された上で役者さんをされると変わりそうですよね。その辺もちょっと楽しみにしたいと思います。声優さんは次の世代、新しい方もどんどん目指される方多いと思うんですが、声優という仕事で一番大切なこと、意識されていること、大事にしていることってありますか?
入野
個人的に表現することや演じることが好きでいてほしいと思います。今の時代、声優にはいろいろ求められることが増えています。歌が歌えてバラエティーができて踊れてとか。でもやっぱシンプルにでもお芝居だったり演じることが好きでいてほしいなというふうに思います。
坂口
ありがとうございます。会場にはそんな入野さんの演技を通して好きになったという方もたくさんいらっしゃってると思いますので、ここで短い時間にはなるんですが、お越しの方に今日の上映会の感想だったり、質問だったりをおうかがいできればと思います。じゃあその女性の方にマイクをお願いします。
観客1
「聲の形」には障がい者に対する考え方とかいじめに対する考え方とか、いろんなキャラクターがいると思うんですけど、私は個人的には植野直花に結構共感できて一番好きなキャラクターなんですけど、入野さんが一番好きなキャラクターをおうかがいできたらなと思います。
入野
登場人物の中の一人一人のいろんな部分に共感するところが僕自身にはあるんですよ。人間って自分の中に抱えているものがたくさんあって、多分いろんな人間性があると思うんです。僕はこの人っていう一人だけとか誰かに似てるっていうのは、ちょっと答えられないんですけど、でも永束君は好きですね。いいキャラクターだなと思います。作品の後半で、彼はしっかりとコミュニケーションを取ろうとするし、その努力が格好いいなと思います。この作品で描いている部分、「つながりたいけど、つながれない。伝えたいけど、伝えられない」っていうものは、おそらく皆さん、経験したことがあることなんじゃないかなと思うんです。見ることができないとか聞こえないということだけじゃなくて、見えていても聞こえていてもわからない部分はわからなくて、伝えられないことは伝えられないっていうことが多いと思うんですよね。そのことがこの作品を通して、皆さんに伝わればいいなとあらためて思いました。ちょっと話がちょっとずれていっちゃいましたけど。
坂口
ありがとうございます。
入野
確かに作品の中で佐原さんとか植野さんとかに拒否反応を起こす人や、このキャラクターは苦手とかいう人もいると思うんですけど、実はそこにポイントがあると思っています。実はその拒否反応を起こす人間こそ自分の中に眠っているというところがあると思うんですね。こうなりたくないって思うキャラクターがいたら自分はそうなってないのかなって、自分自身を見つめてみる。そうすると作品の見方も変わって面白いのかなと思います。
坂口
もう1人、そのブルーのシャツの方。
観客2
貴重なお話をありがとうございました。私 は以前この「聲の形」を映画館で観たんですが、その時に感じたのは鉄棒に触る音だったり紙を破る音がすごく印象的でした。先ほどオーディションの時に環境音が良かったと監督から言われたとお聞きして、それが私の感想とリンクしたなと思いました。そんな監督からのディレクションであったり、音へのこだわりを知った上で、自分が演じらたこの作品への感想って、どんなものだっのか、お聞かせていただけたらと思います。
入野
監督から最初に言われたのが「私が思う石田将也は大きな小動物です。」ということでした。大きく見えるけど、実際はちっちゃくて怯えている、これをヒントにやってみてくださいっていうことを言われました。監督や音楽を担当した牛尾憲輔を含めてスタッフ陣がものすごく音にこだわって作品を作っておられて、牛尾さんはピアノを分解して、そのピアノ中にマイク突っ込んで、ピアノの音だけじゃなくて、その中で、鳴っている音を含めて、音楽にされているんですよね。そういうところが作品への愛情だったり熱量になっているんだなと感じています。さっきも言いましたけど、七巻ぐらいのすごい長い原作があって本当はもっといろいろ描きたいところと部分ってあるんだけど、監督をはじめ京アニの皆さんが将也の視点を通して描ききったことっていうのはすごいことで、その潔さが素晴らしいなあと思いました。この先も僕自身はいろんな場所で「聲の形」が上映されるならそこに行きたいし、皆さんに届いてほしいなというふうに思います。
坂口
ありがとうございます。あらためて本日お越しいただいた入野さんのいろいろな活躍がこの後も続きます。音楽活動再始動ということで、7月30日にシングル「Who I Am」がリリースになり8月10日には東京でトークショーとミニライブも開催されるということです。あとは「おそ松さん」。テレビアニメ第四期が7月から放送されるということで、先日放送記念イベントも行われておりました。今年10月に一期のアニメ放送から10年とね、そんなやってるんですね。「聲の形」より前に始まってるんですね。そういった長く愛される作品「おそ松さん」テレビアニメ第四期が7月から放送されるということです。最新情報などもいろいろチェックしていただきたいと思います。あっという間にお時間が来ました 最後に今日お越しの皆さんへ入野さんから一言ご挨拶をお願いします。
入野
今日は本当にありがとうございました。この「みらいシネマ福岡」のユニバーサル上映は、まだ始まったばかりということでこれからもっともっとたくさんの人に広がっていってほしいなと思います。いろんな人に見てもらえる機会だと思いますので、こんな企画があって面白かったよと思ったら是非周りの皆さんにつないでいていただければ嬉しいなと思います。
坂口
入野さんが関わられた作品もね、他にもたくさんありますので。
入野
そうですね。上映される時はまた来ます。
坂口
皆さんを代表して勝手に願望を言わせていただきましたが、また福岡にお越しください。お待ちしております。本日のゲスト入野自由さんでした。ありがとうございました。
来場者の声
映画を初めて見ましたが、声が見えるような生き生きとした映画でした。入野自由さんのトークはとても良かったので、また福岡へ来てほしいです。今日はありがとうございました。
(40代 女性)
これからの上映会を楽しみにしています。またぜひ参加させていただこうと思います。
(60代 男性)
楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。私はアニメーターとして、まだまだ新人ですが、制作側として働いています。入野さんのお話とても興味深く聞き入ってしまいました。またいつかお話をお聞きできるのを楽しみにしています。
(2年目アニメーター)
ユニバーサル映画に初めて参加させていただきました。きっかけは入野さんのトークショーがあるとのことで、映画館で見て印象的だった映画なので、その出演者のお話が聞きたかったからでした。ディレクションや裏話などをうかがえて貴重な時間となりました。普段なかなか見かけることのない、手話の同時通訳の方も見られて、良い経験となりました。ありがとうございました。
(30代 女性)
映画を見る楽しさを充分に味わえました。音声ガイドが借りられるなら次回はお借りしたいと思います。
(40代 女性)
今回、入野自由さんのインスタでこのようなイベントを知りました。たくさんの方が一緒に楽しめる上映会とても素敵だと思いました。トークショーではマイクと連動して、スクリーンに文字が出たり手話で訳したりと本当にいろいろな方が楽しめるイベントが増えていくといいなと思います。次回も参加したいと思いました。
(20代 女性)
この映画を観たのは家で観たのが初めてでした。前の時よりもすごく考えさせられることが多く中学校とか小学校の思い出をたくさん思い出しました。共感するところもあれば涙が出るところもある。一番大切にしたい家族のことを思うと日々をまじめに生きていきたいと思います。家族や友だちが必ずいてくれるのではないからこそ、ちゃんと接しなければならないと思いました。今日はありがとうございました。
(20代 女性)
大好きな作品をいろいろな形で集まったみなさんと見ることができ気持ちを共有することが出来て感動しました。何年も前の製作当時のお話も聞かせていただき、さらに作品への思いが強くなりました。ありがとうございました。
(20代 女性)
本日は素敵な講演をありがとうございました。またぜひトークショーに入野自由君をお呼びいただけたらとってもうれしいです。
何回見てもいい話だなと感じました。入野さんの声がすごく役に合っていて映画に入り込めました。やっぱりこの映画大好きです。またトークショーなどでお会いしたいです。これからのご活躍も楽しみにしています。
(10代 女性)
最初から最後まで涙が止まりませんでした。各々の青春の心のデリケートさ、むごい心や優しさがよく表れていたと思います。私も以前人の顔を見るのが怖くて下ばかり見ていましたが、今はもうそれも取れました。将也の心がわかります。
(60代 女性)
PG12など、映倫で区分が定められた作品も是非とも上映をする機会を設けてほしい。過激な表現の中にも強く訴えかけるメッセージがあるものはあると考えます。バリアフリー映画を定期的に開催するこの取り組みに心から賛同します。
(30代 男性)
聲の形は劇場公開された当時にも観に行ったのですが、また観られるということそして入野自由さんがトークショーに登壇されるということで参加させていただきました。映画はあらためて観てキャラクター一人一人がより印象的に写り、石田将也以外のキャラクターもそれぞれ深く描かれていて原作にも触れてみたくなりました。トークショーでは幅広くそして長年ご活躍されている入野さんのお話をいろいろとお聞きすることができ40分が本当にあっという間でした。声優さんのトークショーは初参加だったのですが、とても贅沢な経験をさせていただきました。ありがとうございました。